戦後の輸出産業の花形として日本の経済成長を支えたカメラ産業
プロ向けにとどまらなかった一眼レフカメラ
日本のカメラの歴史を振り返ると、一眼レフカメラの歴史と重なることが多くあります。
一眼レフカメラはカメラの種類の一つに位置付けられていて、実際の撮影イメージをファインダー(撮影前に画面の構成を決めたりピントを合わせたりするために使用する覗き窓)で確認してから一か所のレンズで撮影することができます。
1970年代にかけて一眼レフカメラは、オートフォーカス(カメラの焦点が自動的に合わせられるシステム)などの技術革新が進んでいましたが、その当時は専門家などの業務用としての認知にとどまっていました。
一般向けとしても大きなインパクトを与えたのは、1985年にミノルタ(現在はコニカミノルタ)が発売した世界初の高性能オートフォーカス機能などを有する一眼レフカメラでしょう。
このカメラの実用性の高さは、国内外のカメラ産業全体に大きな影響を与えるとともに、一眼レフカメラユーザーのすそ野を広げていきました。
多様な付加機能を備えたデジタルカメラ
デジタルカメラは撮影した画像をデジタルデータとして記録することができるもので、これまでのフィルムカメラではできなかった撮影後の画像をすぐ手軽に見ることができます。
さらに、静止画像に加えて、ほとんどが動画撮影機能を備えています。
国内において、デジタルカメラの性能やその利便性を世間一般に広めたのは、1995年に発売されたカシオ計算機の製品と言われています。
その後、高画素数化や小型化を進めるとともに、ニコンが世界初の光学式手ぶれ補正や顔認識自動焦点合わせを可能にするなどデジタルカメラの魅力を高めるさまざまな付加機能が備わりました。
こうした付加機能や性能などの激しい競争で価格も低下したため、2005年にはデジタルカメラの販売台数がフィルムカメラを上回り、カメラ市場はデジタルカメラに移りました。